特養の仕事内容は?
特養って実際何をするの?
自分にもできるかな?
といった疑問にお答えします。
私が特養で働いた時のタイムスケジュールなどを使ってわかりやすく説明していきます。
特養とはどんな施設か
特養の仕事内容
正・パ・派 別の仕事内容
特養のタイムスケジュール
その他役職の仕事内容
特養に向いている人、向いていない人
特養とはどんな施設?
特養の正式名称は特別養護老人ホームと、主に社会福祉法人や地方自治体のような公的機関が運営する入所型の介護施設で、老健が医療的ケアやリハビリを中心におこなうことに対して特養は身体介護を中心とした自立支援を目的としています。
要介護認定を受け、なおかつ要介護度3以上の方が生活の場として日常生活の支援を受けることができます。
利用者は入所したら退所することはほとんどなく、人生の最後までその施設で生活することが多いため、看取りを行うことも少なくありません。
特養の仕事内容とは
特養は入所型の施設で40〜50名ほどの利用者を10〜20名で支援します。
24時間体制で利用者を支援して行くため、早番、日勤、遅番、夜勤、様々な勤務時間があり、その日の勤務の時間帯で仕事内容も変わることが一般的です。
主な仕事内容は、食事、入浴、排泄介助のような一般的な介助やレクリエーションや記録の記入、利用者の支援の見直しなどがあります。
内容は他の介護施設と同じですが、入居者は要介護3以上の方で人数も多いので、1つひとつの業務がハードです。
その一方で、利用者の人数が1ユニット10名以下で3名ほどのスタッフで支援するユニット型特養というものも存在します。
特養における食事介助
特養は要介護3以上の比較的重度の方が多いので、食事介助をする人数も多いのが特徴です。
利用者の人数に対して職員は少ないので、一人の職員が2、3人の食事介助をすることも珍しくありません。
この場合の食事介助は口に食事を運ぶ介助だけではなく、多くいる利用者が喉に詰まらせたりしないよう、安全に食事ができているか見守りをすることも食事介助の一部となります。
食事介助は食事をすることだけでなく、安全に食事が食べられるように舌やあごを動かしたりする嚥下(飲み込み)体操を食前に行なったり、食後の口腔ケア(歯磨き、入れ歯の洗浄)をすることなども食事介助に位置付けられます。
特養における入浴介助
特養は利用者の人数が多いので一日で全員入浴することが難しいのが現状です。
利用者の入浴は週2〜3回程度で曜日が決まっているため、職員はほぼ毎日入浴介助があります。
入浴の介助内容としても利用者は要介護3以上の方なので、安全面には十分に注意する必要があり、体が不自由な方も多いのでリフトなどを使った機械浴をするのが一般的です。
決められた時間に決められた人数を介助しなければいけないため、時間との勝負になってきます。
また職員は浴室で介助を行うため、夏でも冬でも汗をかくことが多いので、水分補給には十分注意しましょう。
特養における排泄介助
特養の利用者は要介護3以上の方で重度の方が多いので、ひとりでトイレに行けない方や、排泄機能の低下でオムツをつけている方が多いです。
職員は決まった時間にトイレ誘導や、オムツ交換を行います。ただ交換するだけでなく清潔にするために陰部の洗浄をおこない、褥瘡(床ずれ)のような皮膚疾患がないか確認することも重要です。
人数が多く時間内に終わらせなければならないためスピードも必要ですが、一人ひとりの体を清潔に保たなければいけないため職員には技術や観察力が求められます。
レクリエーション
特養は完全に入所施設のため施設内にいることが多く、余暇活動も大切なため職員は利用者のために体操や、カラオケなどのレクリエーションも行ないます。
施設内にいることが多いため、車に乗って外出することもあり、施設によっては泊りがけで旅行に行くとこもろあります。
特養の夜勤について
特養での夜勤の仕事内容はおむつ交換やトイレ誘導、体位交換などが主な仕事です。
夜勤の介護職員の人数は施設によって異なりますが国の人員基準だと25名以下は1人、26~60名で2名、61~80名で3人となっています。
ひこ
特養の仕事は一般的な身体介護(食事、入浴、排泄)が多く、人数も多いのでその一つひとつがハードです。しかし、その分介護技術が身につくのも特徴です。
正社員の仕事内容
特養の正社員の主な仕事内容は食事介助、入浴介助、排泄介助などの身体介護がメインで、利用者のQOL(Quality Of Life生活の質)の向上のためによりよい支援をおこないます。
パートや派遣との違いといえば、夜勤をすることや責任の重さです。
パートや派遣が、責任がないわけではありませんが、正社員は利用者の安全やQOLの向上などに、より積極的に取り組む必要があります。
ひこ
正社員とはいえ、パートや派遣より偉いというわけではありません。おこなう内容はほとんど同じなため、結局はどのような考えをもって介護をするのかということです。パートでもベテランで素敵な介護感を持っている人もたくさんいます。逆に正社員でもだらだらと仕事をする職員もいます。正社員やパートなどの違いは主に働き方や時間の違いといえるでしょう。
パートの仕事内容
パートの仕事内容は、介護面は正社員とほとんど変わらず、食事介助や入浴介助、排泄介助などの身体介護がメインです。
働き方としてもパートなら4時間だけ勤務をするといった働き方も施設によってはできますが、やはり施設側としては、フルタイムで働いてくれるパートさんのほうが雇いやすいということがあります。
派遣社員の仕事内容
特養の派遣は正社員とパートの間といえます。派遣社員は日中の業務に加えて夜勤に入ることもあるため、どちらかというと正社員に近い働き方になります。
また派遣社員には夜勤専従といった働き方もあり、名前の通り夜勤だけの働き方です。その場合の日給の目安として1回あたり23,000円~28,000円の収入になります。
ひこ
派遣の働き方としては通常の派遣のほかに紹介予定派遣という働き方があり、数か月派遣社員として働き、その後双方の同意のもと施設の職員になるといった働き方です。しかしこの場合の給料は施設の給料に依存するため派遣の時より給料が安くなってしまうことがあるので注意が必要です。
特養のタイムスケジュール
ここで特養の1日のタイムスケジュールを確認してみましょう。
特養の早番 正・パ・派
7:00 起床介助
まだ寝ている利用者を起こし、着替えや整容整髪をしホールまで誘導する。
7:30 朝食介助、口腔ケア、下膳
食事介助が必要な方の介助をおこない、その後歯磨きや入れ歯の洗浄などの口腔ケアや食後の片付けをおこなう。
8:30 申し送り
夜勤者から前日の状況や夜間の状況などの報告を受ける。
9:00 入浴準備
浴槽を軽く洗い、タオルを敷くなど入浴の準備をおこなう。看護師と共に入浴する利用者のバイタルを測り、入浴できるかを確認する。
10:00 入浴介助
1日で複数名の利用者を介助することになります。一人で歩くことができる人は一般の浴室、寝たきりなどの人は機械浴と別れて介助することが一般的です。
12:00 休憩
13:00 記録記入、排泄介助
介護記録を記入し、おむつ交換などが必要な方の排泄介助をおこなう。
14:00 レクリエーション
季節の行事をおこなったり、場合によっては外出をおこなう。
15:00 おやつ介助、記録記入
介助が必要な方のおやつ介助をし、その後、残った介護記録を記入。
16:00 勤務終了
特養の日勤 正・パ・派
8:30 申し送り
夜勤者から前日の状況や夜間の状況などの報告を受ける。
9:00 居室や施設内の掃除、体操
日勤者は数名いるので半分が掃除、半分が体操などをおこなう。
10:00 入浴介助
主に早番が洗体をおこなうため、浴室への誘導や、着替えなどをおこなう。
11:30 片付け、食事配膳
入浴介助後の片付けを終えた後、昼食の配膳をする。
12:00 昼食介助、口腔ケア、下膳
介助が必要な利用者の食事介助をおこない、終わったら、歯磨きの手伝いや入れ歯の洗浄などの口腔ケアをおこなう。
13:00 休憩
14:00 レクリエーション
季節の行事をおこなったり、場合によっては外出をおこなう。
15:00 おやつ介助
介助が必要な方のおやつ介助をしつつホールの見守り。
16:00 排泄介助
トイレ誘導やおむつ交換などの排泄介助。
17:00 記録記入、申し送り
介護記録の記入し、夜勤者へ前日の状況や夜間の状況などの報告をする。
17:30 勤務終了
特養の遅番 正・パ・派
10:00 記録確認、排泄介助
申し送りを受けていないため記録の確認をおこない、詳しくは他のスタッフに確認する。その後、おむつ交換などの排泄介助をおこなう
11:00 ホール見守り、お茶出し、嚥下体操
ホールの見守りをしつつ、入浴後の利用者に水分補給をしてもらう。食前には飲み込みをよくするための嚥下体操をおこなう。
12:00 昼食介助、口腔ケア
介助が必要な利用者の食事介助をおこない、終わったら歯磨きの手伝いや入れ歯の洗浄などの口腔ケアをおこなう。
13:00 休憩
14:00 レクリエーション
季節の行事をおこなったり、場合によっては外出をおこなう。
15:00 おやつ介助
介助が必要な方のおやつ介助をしながら利用者とコミュニケーションをとる。
16:00 排泄介助
トイレ誘導やおむつ交換などが必要な方の排泄介助。
17:00 記録記入、申し送り
利用者とコミュニケーションをとりながら介護記録の記入し、夜勤者へ前日の状況や夜間の状況などの報告をする。
18:00 夕食介助、口腔ケア、片付け
介助が必要な利用者の食事介助をおこない、終わったら歯磨きの手伝いや入れ歯の洗浄などの口腔ケアをおこなう。
19:00 勤務終了
特養の夜勤 正・派
17:00 記録確認、申し送り
日中の介護記録の確認や日勤者から前日の夜間の状況や日中の状況などの報告を受けます。
18:00 夕食介助、口腔ケア、片付け
介助が必要な利用者の食事介助をおこない、終わったら歯磨きの手伝いや入れ歯の洗浄などの口腔ケアをおこなう。
19:00 排泄介助、就寝介助
就寝前にトイレ誘導やおむつ交換などの排泄介助、パジャマに更衣などの就寝介助をおこなう。
20:00 記録記入、見守り
ホールに残っている利用者がいれば見守りをしつつ介護記録の記入
22:00 巡回、排泄介助、体位交換
各部屋の見回り、必要な方の排泄介助、体位交換
24:00 巡回、排泄介助、体位交換
各部屋の見回り、必要な方の排泄介助、体位交換
1:00 仮眠
交代で仮眠をとる
2:00 巡回、排泄介助、体位交換
各部屋の見回り、必要な方の排泄介助、体位交換
4:00 巡回、排泄介助、体位交換、起床介助
各部屋の見回り、必要な方の排泄介助、体位交換。早い利用者はこの時間で起きてくるので随時起床介助。
6:00 記録記入、起床介助
夜間の記録を介護記録に記入し、随時起きてきた利用者の起床介助。
7:00 起床介助
まだ寝ている利用者を起こし、着替えや整容整髪をしホールまで誘導する。
7:30 朝食介助、口腔ケア、片付け
介助が必要な利用者の食事介助をおこない、終わったら歯磨きの手伝いや入れ歯の洗浄などの口腔ケアをおこなう。
8:30 申し送り
日勤者へ前日の状況や夜間の状況などを報告する。
9:00 記録の記入
利用者やスタッフとコミュニケーションをとりつつ、ゆっくりと記録記入する。
10:00 勤務終了
ひこ
上記のスケジュールはあくまでの一例です。基本的に時間で決まっておりますが、その日の状況や、利用者の状況などによっても変わることがありますので注意が必要です。
その他役職の仕事内容
特養の人員基準として
- 管理者(施設長)1名
- 生活相談員1名
- 機能訓練指導員1名
- 計画作成担当者(介護支援専門員)1名
- 看護師数名
が必要とされています。それぞれの仕事内容を見てみましょう。
管理者(施設長)
特養の管理者(施設長)は社会福祉主事(社会福祉士)の資格を有し、社会福祉事業で2年以上働き、社会福祉士施設長資格認定講習会を受講した人がなることができます。
管理者(施設長)の仕事としては施設の運営やスタッフの管理、利用者家族への対応など施設全体の統括をおこないます。
生活相談員
生活相談員はソーシャルワーカーとも呼ばれており、主な仕事内容は利用者の入所の手続きや退所の手続きのほか、家族や利用者の相談を受けたり、スタッフの相談に乗ることもあります。
また、家族や利用者からの苦情も伺い、その都度対応しなければなりません。
生活相談員になるには、以下の資格を持っていることが条件となっています。
- 社会福祉士
- 精神保健福祉士
- 社会福祉主事任用資格
そのほか、地域によってはケアマネージャーや介護福祉士でも生活相談員になることができます。
機能訓練指導員
機能訓練指導員は利用者の身体状況の把握をし、介護、看護職員などと連携して一人ひとりに合った機能訓練を提供します。
生活相談員になるには、以下の資格を持っていることが条件となっています。
- 看護師、准看護師
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚士
- あん摩マッサージ指圧師
- 柔道整復師
- 鍼灸師
計画作成担当者(介護支援専門員)
計画作成担当者(介護戦専門員)はケアマネージャーとも呼ばれており、主な仕事内容は利用者一人ひとりのケアプランの作成です。
必要な資格としては、介護支援専門員の資格に加え小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修を修了している必要があります。
看護師
特養における看護師の人員基準は入所者30名以下で1人以上、31~50名で2名以上、51~130名で3名必要とされています。仕事内容は介護職員と同等の仕事に加え、利用者の、日頃の健康チェックや、医療機関との連携となっています。
特養に向いている人、向いていない人
特養に向いている人
特養は重度の方が多いため自然と介護技術が身につきます。
働いているスタッフもベテランが多いため、介護の経験があまりなく、早く技術を身に付けたいという人に向いています。
また給料も介護業界ではトップクラスなのでとにかく稼ぎたいという人にも向いていると言えます。
また派遣社員の夜勤専従であれば夜勤だけの働き方もでき、1日の給料もしっかりもらえるため、夜中働きたい人には向いています。
特養に向いていない人
特養は重度の方が多いため、介護技術に自信がない人や、急がず覚えていきたいという人には向いていないかもしれません。
また、利用者の人数が多いため、利用者への対応がおざなりになりやすく、利用者一人ひとりをゆっくり支援していきたいという人にも向いていないかもしれません。
特養に向いている人
- 早く技術を身に着けたいという人
- とにかく稼ぎたい人
- 夜勤専従などで夜中だけ働きたい人
特養に向いていない人
- 介護技術に自信がなく、急がず覚えたい人
- 利用者一人ひとりとしっかりコミュニケーションをとりたい方
- ゆっくり支援をしていきたい人
おわりに
特養は、介護施設の中でも重度の利用者や人数が多く、大変なこともたくさんあります。
しかし、接する利用者が多いことや、一つひとつの支援が大変なので介護の仕事に早く慣れたいという人にはおすすめです。
食事介助、入浴介助、排泄介助などすべてにおいて同じ介助方法はありません。
まず基礎をしっかり学んで利用者一人ひとりに対応できる応用力を身につけましょう。
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