介護の仕事をしている人は一度くらい転職したいと思ったことがあるのではないでしょうか?
私は10年以上介護をやってきた中で5回転職をしています。
理由としては施設への不満や給料面、人間関係のもつれなど様々です。
私は今まで、転職するときに給料面しか見てきませんでした。もちろん働くうえで給料は大事です。
しかし、長く働くうえで大切なことは他にもあります。ここでは転職をする時の注意点や、アドバイスをお伝えしたいと思います。
参考:介護福祉士がおすすめする転職サイト10選!働き方別ランキング!
現場における介護士の必要性
今の日本では、一般的に65歳以上を高齢者と呼びます。
その高齢者の現在の割合は全体の26.7%、つまり約4人に1人が高齢者ということです。
この割合は年々増加しており、15年前から約10%も増加しています。
今後2025年には30%まで上昇すると言われていて、約3人に1人が65歳以上の高齢者ということになります。
その後も高齢化率はどんどん高くなっていくと推測されています。
現在の介護職員の数は190万人ほど。2025年に必要な介護職員の数は253万人だそうです。
しかし、その年の介護職員の人数は、推定215万人と見込まれているそうです。つまり、38万人も介護職員が足りないということになります。
このように、介護の人材は確実に足りなくなっています。
これは言い換えれば、介護職が選ばれる側から、選ぶ側になってきているということです。
転職する際は、しっかりと会社を見極めて選ぶことが大事です。
参考:厚生労働省 区分別人口及び高齢化率の推移2025年に向けた介護人材にかかる需給推計
施設はなぜ求人募集をかけているのか
あなたが経営する立場だったら、どのようなときに求人をかけますか?
人手が欲しいときですよね。人手が欲しい時というのは大体、新規事業を始める時、もしくは、職員が辞めた時なんです。
職員が辞める理由はわかりません。
しかし、この記事を読んでいて、転職を考えているあなたはにはわかるはずです。
なぜなら今いる職場を辞めようとしているから。
ここで考えてほしいのは、あなたが辞めた後、職場はどうするか。
求人を出すのです。
あなたはその求人に応募しますか?絶対にしませんよね。辞めたいと思って辞めた職場なんですもの。
私は、今出ている半数以上の求人は誰かが辞めたいと思って辞めた職場だと考えています。
もちろん自分に合う合わないはあると思いますが、そういった部分も含めて、しっかりと下調べをして、納得のいくまで、検討しましょう。
ここからが本番!転職をするにあたって
まず、自分にとって働きやすい職場というのは、人間関係の良しあしなのか、残業の少なさなのか、収入の多さなのかなどを明確にしましょう。
以下の条件を自分で順位付けしてメモをしておくと、自分でも気付けなかった、どういう職場で何を第一に考えているのかが視認できるのでおすすめです。
- 収入
- やりがい
- 人間関係
- 福利厚生
- 有給やボーナス
- 夜勤の有無
- 残業の有無
- 職場の種類
給料がいいからここにしよう!家から近いからここでいいや!なんて決め方は絶対によくないです。(私みたいに失敗して社会経験になったりしますが。)
給料、勤務体制、有給消化率、ボーナスの実績、職員の対応などをしっかり見極めてから面接にのぞみましょう。
事前にホームページなどで施設を調べる。
ネット社会の今、大抵のことはすぐに調べることが出来ます。
気になる施設があったらまず、『施設名 評判』などで調べてみましょう。大きい施設であれば出てくると思います。
運営元を調べる
施設の情報を調べたら、運営元を確認します。(電機会社や、建築会社などが介護事業に参入していることもあります。)
基本的には営利法人か、非営利法人かです。
営利法人には、株式会社や、合同会社などがあり、非営利法人には、NPO法人や社会福祉法人などがあります。
私の経験上、非営利法人のほうが公的機関(補助金なども出る)のため、研修や、スキルアップに力を入れている印象です。
ネットでの評判を調べる
求人サイトなどでいいなと思った施設が見つかったら、ネットでの評判を調べてみましょう。
すべての施設の情報があるわけではありませんが、ある程度は出てきます。
その中のいい評判や悪い評判をしっかり確認して、自分に合っているか確かめましょう。
面接の前に必ず見学に行く
求人サイトだけを見て、決めるのはとても危険です。
求人をかけるときに、自分の施設を悪く言う施設はありませんよね?もちろん、いいところだけを載せますし、もしかしたら誇張して載せているところもあるかもしれません。
自分にとっていい施設かどうかは、自分の目で見るのが一番です。気になる施設があったらまず、電話をしてみて、面接ではなく、見学したいと申し出てみましょう。
私も経験がありますが、断られることもあります。
私の経験上、断られるようなら見られたくない、もしくは、見られたら来てもらえないかもと思っている可能性がありますので、「見学行ってないけどよさそうだしいっか」と投げやりにならないように注意しましょう。
見学に行く前に準備すること
まず、電話をかける前に、2,3週間先の自分の空いている日を確認しておきましょう。
電話をかけて見学できることになった後、必ずいつ空いているかを聞かれます。
相手も忙しい仕事中です。待たせることのないようにしましょう。
そのあと日にちや時間などを決めることになると思います。
それから電話を切る前に聞きたいことは確認しておきましょう。
私はスーツで行ったほうがいいのかを確認しています。
一度スーツで行ったときに、「見学に来たのに手伝う気ないの?」と言われたことがあったので。
経営者の方々も人間ですので、人によって考え方も違います。
しかし、逆に「そんなこと言われなくてもわかるだろう」などと言われることもあるので、難しいですが、電話の対応をしてくれている人の話し方や声のトーンなどで判断しましょう。
いざ見学!これだけは確認しておこう。
電話で日程を決めた後、実際に施設や事業所に見学に行きます。
その時に確認したほうがいいことをまとめたいと思います。
ライフスタイルに合っているか
ライフスタイルは人によってさまざまです。
子供や奥さん、家族との時間を大事にしたい人、夜勤をたくさんやりたい人、できれば夜勤をやりたくない人、土日休みがいい人、主婦の人、週3で働きたい人。
それは、無茶な要求ではなく、あなたの権利です。
自分のライフスタイルをよく理解して、その旨を伝えましょう。
合わなければその施設とは縁がなかったということです。次の施設を探しましょう。
自分のライフスタイルに合えば次のステップです。
人間観察
人間観察というと聞こえは悪いかもしれませんが、これも大事なことです。
施設の場合は、そこで働いている職員を見ることになると思います。
その時に注意したいのは、表情や声掛けの仕方、年齢層です。
表情は無意識に顔に現れるものです。
スタッフの表情を見て、楽しそうに感じるようなら、楽しく仕事が出来ているのでしょう。
声掛けの仕方はぶっきらぼうな声掛けをしてないか、利用者の言葉に傾聴できているかなどを見るとよいでしょう。
最後に年齢層ですが、若いスタッフや、年配のスタッフの割合などを見たほうがいいでしょう。
これも私の主観ですが、年配の方は気の強い人も多く、若い人はやりづらかったりするので、注意が必要かもしれません。
出来るようなら現場のスタッフとも少し話をしてみるとよいでしょう。
離職率
この離職率は、はっきり言って、外からでは絶対にわかりません。
かと言って聞いたら教えてもらえるわけでもありません。
施設側から「先月3人辞めちゃったんだよ」なんていうと思いますか?
職員が辞めるということは、何か不満があった可能性が高いです。
そんな施設の評判を下げるようなことは言いません。ではどうすればいいか。
それは、長く働きたい旨を伝え「職員の平均勤続年数はどのくらいか」と聞くことです。
長く働くためにはとても大事な情報です。
施設側も悪くは言いたくないので、多少サバを読むかもしれませんが、鵜呑みにするのではなくあくまでも参考程度にとどめておきましょう。
給料はどのくらい上がるか
これも大事な情報です。
私が働いていた施設では基本給が1年に1000円しか上がりませんでした。そのときの主任に聞いた話だと5年働いて5000円しか上がってないとのことでした。
10年働いてやっと1万円です。
今がよければいいという考えを捨てて、将来のことをよく考えましょう。
もちろん給料がすべてではありませんが、あなたが生活したり、家族が出来て養わなければいけなかったりしたときに必ず必要になってきます。
給料の話は切り出しづらいですので、質問の最後や、相手側に他に質問はありますかと聞かれたときに、昇給と賞与などについてお聞きしたいのですが、と聞くのがよいでしょう。
最初から給料の話をするのは相手に悪い印象を与える可能性がありますので注意しましょう。
有給取得率
介護の現場は人手が足りていないところが多く、有給なんか使えない、なんてところも少なくありません。
しかし有給は労働者に与えられた権利ですので施設側が取得を強制することは出来ません。
人手が足りていないから有給は使えない、なんてことはあり得ないのです。
しかし、有給を使うと評価に影響するかも・・・なんて思ったりしますよね。
実際私も施設で有給を使ったことがないです。使わなかったのではなく、使えなかったのです。
みんなが使ってないから、言いづらいからと思っていました。
もう一度言いますが、有給は労働者に与えられた権利です。
有給を使いづらい職場の環境がよくないのです。
ここで気を付けてほしいのが、「有給はありますか」「有給は使えますか」といった質問をしてはいけません。
施設側も「使えません」なんて言ったら労働基準法に違反してしまうので「ありますよ」「使えますよ」と必ず言います。
もし聞くのであれば「有給取得率はどのくらいですか」と聞くのがよいでしょう。
もちろん有給取得率は高いほうがいいので、転職の際の判断材料にするとよいでしょう。
求人の給料は総支給額だということを忘れない
わかっている人も多いと思いますが、社会保険などにはいる人は注意が必要です。
給料の総支給額によって変わりますが、総支給額が20万~30万だと、大体、3万~5万くらいです。もちろん給料が多ければ多いほど引かれる額も多くなります。
金額が気になる方はこちらのシュミレーションサイトを参考にしてみてください。
意外と社会保険料を計算しないで、求人募集してしまう人が多いので、総支給額から社会保険料を引いた額をきちんと算出して、手取りがいくらなのかをはっきりしておくとよいでしょう。
また、求人の出し方によっては、「夜勤8回を含む」や「残業20時間を含む」のような書き方をしていることもあるので、注意が必要です。
派遣、または契約社員から始めてみるのも一つの手
正社員で働いていると、この施設とは合わないから辞めたい。と思っても辞めずらいですよね。
かといって、入職してみないと本当に自分に合うかどうかなんてわからないです。
そんな時に便利なのが派遣、または契約社員です。
そこで数か月働いてみて、自分に合っていると思ったら、正社員にしてもらうのも一つの手でしょう。
まとめ
転職をするというのは必ずしも悪ではありません。
自分が嫌な思いをしながら我慢して、挙句の果てには鬱になったり、体を壊したり。
あなたを守れるのはあなた自身でしかありません。
自分にとって一番重要なことは何か、何を目的として働くのかをきちんと明確にし、自分の人生にとことん向き合うことが大切です。
転職はとても不安だし勇気がいります。
その職場が自分に合っているか、長く働けるか、誰にもわかりません。その不安を少しでも減らすべく、よく考えて行動しましょう。
この記事をもう一度おさらいをしておきましょう。
- 気になる求人を見つけたらネットやホームページなどでよく調べる。
- 面接の前に必ず見学に行く
- 見学の際は以下のことを確認する
- ライフスタイルに合っているか
- 職員の人間観察
- 離職率
- 昇給はどのくらいか
- 有給取得率
- 求人の給料は総支給額だということを忘れない
- 派遣又は契約社員から始めてみるのも一つの手
これらのことに気を付ければ、自分のライフスタイルに合った働き方に近づけるでしょう。
暗く考えずに、転職したら給料が増える、休みが充実する、働きやすくなる、と未来に希望をもって一歩を踏み出しましょう。
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